日本では、すべての犬にジステンパー、パルボウイルス、アデノウイルスのコアワクチン(混合ワクチンに含まれます)がすすめられます。さらに狂犬病予防法により、生後91日以上の犬は登録と、毎年1回の狂犬病予防注射が義務です。予防注射の時期は現在4月1日から6月30日ですが、2027年3月2日からは一年中受けられるようになります。子犬の混合ワクチンは生後6〜8週から始め、世界小動物獣医師会(WSAVA)は最後の1回を16週齢以降にすることをすすめています。接種計画はかかりつけの獣医師が決めます。

図解ガイド

子犬のワクチンスケジュール表

図「ワクチンのスケジュール」日本。生後6〜8週:混合ワクチン1回目、ジステンパー・パルボ・アデノなどのコアワクチン。2〜4週間ごと:くり返し接種、WSAVAは最後の1回を16週齢以降にと推奨。生後91日以上:狂犬病予防注射と犬の登録が法律で義務、毎年1回。生後26週ごろ:WSAVAが推奨する追加接種。成犬:狂犬病は毎年1回、混合ワクチンは多くの病院が毎年、WSAVAはコアを3年ごと。
  1. 子犬:生後6〜8週から2〜4週間ごとに混合ワクチン
  2. 最後の1回:16週齢以降(WSAVA)
  3. 生後91日以上:登録と狂犬病予防注射(毎年1回)
  4. 成犬:混合ワクチンの間隔は獣医師と相談
一般的な例です。WSAVA、狂犬病予防法、厚生労働省の資料をもとに作成。接種計画は獣医師が決めます。

ポイントまとめ

01

狂犬病予防注射(法律で義務)

狂犬病予防法は、飼い主に「狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない」と定めています。受けたら交付される注射済票を犬に着けます。

02

犬の登録(法律で義務)

犬を飼い始めた日(生後90日以内の子犬なら生後90日を過ぎた日)から30日以内に、市区町村に登録します。登録は一生に1回で、交付される鑑札を犬に着けます。

03

ジステンパー(コア)

混合ワクチンに含まれ、子犬の接種と成犬の追加接種で守ります。

04

パルボウイルス(コア)

ワクチンを受けていない子犬では命にかかわることが多い病気です。混合ワクチンに含まれます。

05

アデノウイルス(コア)

犬伝染性肝炎などを防ぎます。混合ワクチンに含まれます。

06

レプトスピラ(獣医師に相談)

WSAVAは、病気が多い地域では欠かせないワクチンとして扱うべきとしています。効果はおよそ1年なので、毎年の追加接種が必要です。

07

コロナウイルス(WSAVAは非推奨)

WSAVAは、効果の根拠が足りないとして、犬コロナウイルスのワクチンを「推奨しない」に分類しています。

今週やること

  1. 注射済票と鑑札、混合ワクチンの証明書を確認し、日付を犬のワクチン接種記録シート(無料テンプレート・PDF)に書き写す。
  2. 今年度の狂犬病予防注射を受けたか確認する。まだなら、区市町村の集合注射か動物病院で受ける。
  3. 引っ越しや飼い主の変更があったら、市区町村に届け出る。
  4. 混合ワクチンの種類と次の接種時期を、かかりつけの獣医師に相談する。

狂犬病予防法で決まっていること

  1. 登録:犬を取得してから30日以内(子犬は生後90日を過ぎてから30日以内)に市区町村へ。一生に1回です。
  2. 予防注射:生後91日以上の犬は毎年1回。
  3. 鑑札と注射済票:どちらも犬に着けておく義務があります。
  4. 罰則:登録や予防注射をしない、鑑札や注射済票を着けない場合、20万円以下の罰金の対象です。

接種の時期が変わります。現在の規則では、予防注射は4月1日から6月30日までの間に受けることになっています。厚生労働省の2026年4月の通知で、この期間の決まりは廃止され、2027年3月2日から一年中受けられるようになります。その後も、4〜6月ごろは予防注射の強化期間として呼びかけが続く予定です。

日本に狂犬病はないのに、なぜ注射が必要?

厚生労働省によると、国内では人の狂犬病は1956年、動物では1957年の猫を最後に発生していません。それでも、近隣の国々では狂犬病が広がっており、侵入のリスクは「皆無ではありません」としています。実際、2006年と2020年には、フィリピンで犬にかまれて帰国後に発症した人の例がありました。

東京での受け方と値段

東京都は、区市町村が行う集合注射か、動物病院で受けるよう案内しています。動物病院で受けた場合は、病院で渡された注射済証を区市町村の窓口に持って行き、注射済票を受け取ります。

費用は地域によって違います。例えば世田谷区の2026年度の集合注射は、注射料金3,200円と注射済票交付手数料550円の合計3,750円です。病気などで受けられない場合は、獣医師に注射が難しいという診断書を書いてもらい、区市町村に延期(猶予)を届け出ます。世田谷区では、猶予は原則としてその年度だけです。

子犬のワクチンスケジュール:混合ワクチンは何回?

WSAVAは、生後6〜8週から2〜4週間ごとに接種し、最後の1回を16週齢以降にすることをすすめています。母犬からもらった抗体がワクチンの効果をじゃますることがあり、その抗体が消える時期は子犬ごとに違うためです。そのため、何回になるかは始めた時期によって変わります。さらに生後26週ごろの追加接種も提案しています。

犬の混合ワクチンの種類

「5種」「8種」などの数字は、1本で防げる病気の数です。国の基準(動物用生物学的製剤基準)を見ても、レプトスピラを2つの型だけ含むもの、5つの型を含むもの、コロナウイルスを含むものなど、製品によって中身が違います。

数が多いほど良いわけではありません。WSAVAはコロナウイルスのワクチンを推奨していません。レプトスピラが必要かどうかは、住んでいる地域や散歩、川遊びなど暮らし方で変わるので、獣医師と選びましょう。

成犬の混合ワクチンは毎年?3年ごと?

ここは意見が分かれるところです。

  1. WSAVA:コアワクチンは、最初の追加接種のあとは3年より短い間隔で打つべきではない、としています。レプトスピラは毎年です。
  2. 日本の現状:学会の資料によると、日本では9割近くの病院がコアワクチンを毎年接種しています(英国では17%、ドイツでは50%)。同じ資料は、必要のない接種を行わないことが必要だとも述べています(この資料はワクチンメーカーの協賛です)。
  3. 抗体検査:血液で抗体の量を調べてから接種を決める方法もあります。かかりつけの獣医師に相談してください。

副反応について

厚生労働省は、狂犬病予防注射のあとに痛み、元気や食欲がない、下痢や嘔吐などの一時的な副反応が出ることがあり、まれにアナフィラキシー反応が起こると説明しています。

麻布大学の調査(2006〜2007年に573の動物病院、57,300頭)では、混合ワクチン(狂犬病以外)の接種後になんらかの反応が出たのは359頭、1万頭あたり約63頭でした。反応の83.3%は接種後12時間以内に起こり、アナフィラキシーはすべて60分以内、その約半数は5分以内に始まっていました。小型犬に一度に何種類も接種すると、リスクが高くなるとされています。

犬のワクチン証明書と接種記録シート(無料テンプレート)

混合ワクチンの接種証明書は、接種した動物病院が発行します。もらっていない、なくしたという場合は、接種した動物病院に再発行できるか相談してください。狂犬病の注射済票は、市区町村が交付します。

鑑札、注射済票、証明書は大切に保管しましょう。WSAVAは、接種日、ワクチン名と製造元、ロット番号、接種した人、次の接種予定日を記録するようすすめています。

記録シートを印刷:犬のワクチン接種記録シート(無料テンプレート・PDF)。スケジュールと、獣医師に記入してもらう記録表がついています。これは自分用の記録で、証明書の代わりにはなりません。

犬のワクチン接種記録シート(無料テンプレート)

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よくある質問

犬の登録はいつまでに必要ですか?

犬を飼い始めてから30日以内です。生後90日以内の子犬は、生後90日を過ぎてから30日以内に市区町村へ登録します。登録は一生に1回です。

狂犬病予防注射は4〜6月以外でも受けられますか?

現在の規則では4月1日から6月30日の間に受けることになっています。2027年3月2日からは一年中受けられるようになります。

日本に狂犬病はないのに注射は必要ですか?

はい、法律で毎年1回の接種が義務です。厚生労働省は、近隣国で狂犬病が広がっているため侵入のリスクは皆無ではないとしています。

混合ワクチンは毎年必要ですか?

WSAVAはコアワクチンを3年より短い間隔で打たないようすすめていますが、日本では毎年接種する病院が多いのが現状です。レプトスピラは毎年必要です。獣医師と相談してください。

高齢や病気で注射を受けられない場合は?

獣医師に注射が難しいという診断書を書いてもらい、市区町村に延期(猶予)を届け出ます。手続きは市区町村によって違います。

犬のワクチン証明書をなくしたら?

混合ワクチンの証明書は接種した動物病院が発行します。再発行できるか、その動物病院に相談してください。

混合ワクチンは何種がいいですか?

数が多いほど良いわけではありません。製品によって含まれる病気が違うので、住んでいる地域や暮らし方に合わせて獣医師と選びましょう。

室内飼いでもワクチンは必要ですか?

はい。コアワクチンはすべての犬にすすめられており、狂犬病予防注射は法律で義務です。

参考にした獣医学・公的情報

ご注意: このガイドは一般的な情報で、診断はできません。愛犬を実際に診察できる獣医師にご相談ください。